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研究テーマ

研究室では大学院生を募集しています。研究内容に関心をもってくれた人は、亀村(k_kamemura@nagahama-i-bio.ac.jp)まで連絡してください。


タンパク質の時空間的な生理機能調節メカニズムである「翻訳後修飾」に注目した研究を展開しています。特に、ヒトを含むほ乳類の発生に不可欠なO-GlcNAc修飾に注目しています。ここで不可欠という意味は、O-GlcNAc修飾システムが失われると、ほ乳類細胞は生存できないという意味です。それほど大事であるにもかかわらず、O-GlcNAc修飾がどんな働きを持っているのかはよくわかっていません。現在、最も想定されているO-GlcNAc修飾の働きは、リン酸化シグナル伝達カスケードのコントロールです(図1)。

  図1

研究室では、以下の2つの観点からO-GlcNAc修飾の働きに迫るべく研究しています。

 

(1)細胞レベルでのO-GlcNAc修飾の動態解析

個々の細胞系譜ごとの分化とO-GlcNAc修飾の関係を調べています。これまで、脂肪分化や筋分化について解析し、O-GlcNAc修飾を人為的にコントロールすることによって、分化効率を操作できることを見つけました(図2)。また、骨芽細胞分化を促進する一方で、破骨細胞分化を抑制できることもわかりました。将来的には、幹細胞の良質化や効率的な分化誘導法の開発に繋げたいと考えています。


  図2

(2)特定のタンパク質に注目したO-GlcNAc修飾の機能解析

ユーイング肉腫を引き起こす原がん遺伝子産物Ewing sarcoma protein (EWS)は、転写、mRNAスプライシング、ならびにマイクロRNAプロセシング・輸送に関わる多機能タンパク質です。EWSの機能異常と神経変性疾患の一種に関係があることも見つかっています。しかしながら、EWSの機能調節メカニズムは不明です。研究室では、O-GlcNAc修飾がEWSの機能調節に関与していることを見つけました。本研究をさらに発展させ、O-GlcNAc修飾がEWSの働きを調節する分子スイッチであることを証明し、O-GlcNAc修飾システムを人為的にコントロールする新しい分子標的治療薬の開発に貢献したいと考えています。



 


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