地球レベルでの急激な環境変化により、動植物の生態系も大きく影響を受けています。特に、植物はこの様な環境変化から自発的に逃れることができないため、環境の影響を受けやすいことが知られています。そこで植物は、我々動物以上に自己の置かれている環境情報を素早く読み取り、環境に適応する能力を獲得してきました。我々の研究室では、植物がどのようにして様々な病原菌を認識しその情報を細胞内に伝達しているのか、植物がどのようにして環境の情報を感じ取りそれに対して適応しているのか、人工環境下において植物を生育させることで、特定の生理活性物質の含有量を増やすことが出来るかなどについて分子レベルでの研究を行っております。これまでの我々の研究で、植物が病原菌の様々なタンパク質を認識することで、植物独自の免疫反応を誘導していることを世界で初めて明らかにすることが出来ました。また、植物の病害抵抗性の誘導機構についても分子レベルで明らかにすると共に、植物の環境感知システムや、温度変化に対抗する手段についても明らかにすることが出来ました。この様な研究は、地球環境問題解決への一助になるだけでなく、近い将来深刻になると予想される食糧不足の問題解決にも貢献できると考えられます。