研究テーマ


養殖ビワマスの脂の乗りを良くする飼料開発

琵琶湖固有種であるビワマスは筋肉中に脂肪分が多いほど刺身としての味が向上し商品価値が高まります。このビワマスは長浜市にとって非常に重要な水産資源の一つでありますが、漁獲量は年々減少してきており養殖業の発展が期待されています。しかし、現状の養殖ビワマスは天然モノに比べて脂の乗りが悪く食味に劣り、また飼料として用いられている魚粉や魚脂の値段の高騰が問題となっているため、効率よく脂の乗りを良くする、安価でかつ安全な代替飼料が求められています。

 

 脂肪は、細胞中の転写因子であるPPARγがリガンドと呼ばれる物質により活性化されることが引き金となり増加することが知られています。そこで、PPARγを活性化する物質を農産加工副産物、食品製造副産物中より見出し、それを含む餌をビワマスに与え、脂の乗ったビワマスを効率よく養殖する方法の確立を目指しています。

 

飼料の原料が食品製造副産物であれば入手も容易で安価であり、再利用と言う点でも現在社会のニーズに合致しています。また、滋賀県の食品製造業者と共同して飼料の開発に取り組むことで、ビワマスの肉質向上と同時にビワマスを活用した地産地消の循環型社会の構築を目指す事が可能となります。さらに、このビワマスは観光客に料理として提供し好評を得ており、長浜市の重要な観光資源であります。従って、本研究が長浜市の水産業のみならず、観光業の振興に大きく寄与すると考えています。


抗肥満作用を有するペットフードの開発

その一方で、ヒトやペットを対象とし、サプリメントや飼料により脂肪細胞の形成を抑える、あるいは脂質代謝を亢進することで肥満の軽減を目指す研究も行っています。現在、肥満に伴う糖尿病、高血圧や脂質異常症(高脂血症)の患者数は増加の一途で、これらメタボリックシンドロームと総称される疾患に対する治療薬の開発は非常にホットな分野であります。

 

それらの疾患に対する治療薬のターゲットのひとつとして、リガンド依存性の核内転写因子であるPPARファミリーが存在します。このファミリーのうち、PPARαは肝臓、心臓、骨格筋等で発現し、脂肪代謝に関与する転写因子として知られ、そのリガンドであるフィブレート系の薬剤は抗脂質異常症薬として用いられています。一方、PPARδも骨格筋の脂肪酸取り込みや脂肪酸酸化といった脂肪酸代謝を調節する因子である事が明らかになっています。

最近のPPARαのリガンドスクリーニングの研究により、ハーブ等の植物や食品中にPPARαの脂溶性の活性化因子が見出されています。さらに、ウリ科のアマチャヅル中のPPARαPPARδの両方を活性化するいわゆるデュアルアゴニストの存在も報告されています。

 

 そこで我々は、農産加工副産物、食品製造副産物を対象とするPPARαおよびPPARδのリガンドスクリーニングにより、それぞれ単独の活性化因子の探索はもちろんのこと、デユアルアゴストの探索も行っています。

 本研究はヒトを対象とする医薬、サプリメント開発だけでなく、最近問題となっているペットの肥満や脂肪肝に対する新たな飼料開発も目指しています。


 

食の安全・安心に対する検査法の開発

BSEや産地偽装、食品表示偽装等により最近脅かされている食の安全、安心に対してこれまでもその検査法の開発に携わってきました。

 そのひとつとして、ウシ、トリ、ウマ、ブタ、ヒツジ由来DNAの混入を判別するDNAアレイの開発があります。

 現在、特にビワマスやニゴロブナといった滋賀県の特産物に対する偽装表示防止のための種特定法の開発にも携わっています。


 

 


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